AIでアプリやホームページを作るとき、AIも制作会社も専門用語をそのまま使ってきます。全部を覚える必要はありません。15個だけ「なんとなくの意味」を持っておけば、話が通じるようになります。
この記事は、AIでの開発を外注しようとしている経営者、または自分で触りはじめた方向けです。
同じ内容を、弊社のエンジニアが動画でも話しています(27分21秒)。読むより見たいという方は、こちらからどうぞ。
結論:15個の用語を「ざっくりの意味」で持っておく
細かい正確さは要りません。次の対応表くらいの理解で、AIとの会話も、外注先との打ち合わせも進みます。
| 用語 | ざっくり言うと |
|---|---|
| ディレクトリ | フォルダ |
| パス | ファイルの住所 |
| ターミナル | 文字でパソコンに指示する黒い画面 |
| ローカル環境 | 自分のパソコンの中 |
| デプロイ | インターネットに公開すること |
| サーバー | 表示や処理を用意してくれている裏方 |
| ライブラリ | よく使う部品の詰め合わせ |
| フロントエンド | 人が見て触る画面 |
| バックエンド | 見えないところの処理 |
| データベース | 情報をためておく場所 |
| API | サービス同士をつなぐ窓口 |
| 環境変数 | 大事な情報をプログラムの外に置く場所 |
| JSON | コンピュータ同士が読みやすい書き方 |
| GitHub | プログラムを保存しておく場所 |
| リポジトリ | GitHubの中のフォルダ |
なぜ、分からないまま進めると損をするのか?
正直に言えば、意味が分からなくても、ものは作れてしまいます。問題はその後です。
弊社のエンジニアが最初にアプリを作ったときは、見た目はきれいにできたものの、ボタンが反応しない、エラーが次々に出るという状態になりました。用語の意味をつかめていなかったために、大事な指示を見落としていたためです。
損は3つの形で出ます。
- 時間と費用が消える:意味を聞き返すやり取りだけで、AIの利用枠(多くのサービスは一定時間あたりの上限がある)を使い切ります
- セキュリティの話を読み飛ばす:後述するAPIや環境変数は、扱いを誤ると金銭的な被害につながります
- 作り直しになる:確認の工程を飛ばしたまま公開すると、お客様が使う画面で不具合が出ます
御社が外注する場合も同じです。相手の説明が理解できないと、確認すべき点を確認できないまま進んでしまいます。
「どこで動かすか」の言葉:ローカル環境・デプロイ・サーバー
いちばん先に覚える価値があるのは、この3つです。公開前の確認をしたかどうかに直結するためです。
- ローカル環境:自分のパソコンの中だけで動かしている状態。ここで動作を確かめます
- デプロイ:インターネット上に公開すること。ここから先は、お客様が触れる状態になります
- サーバー:公開したものを、見に来た人に届ける裏方の仕組み
弊社では、AIに対して「まずローカル環境で実装して」と指示することが多くあります。確認を挟まずに公開すると、お客様が使っている画面に、動くか分からない機能が乗ってしまうためです。
外注先との会話では、「公開前に、どこで動作確認をしますか」と聞けば十分です。
「触る場所」の言葉:ディレクトリ・パス・ターミナル・ライブラリ・GitHub・リポジトリ
作業の場所を指す言葉です。難しそうに見えて、中身は事務所の棚と同じです。
| 用語 | 日常のたとえ |
|---|---|
| ディレクトリ | 営業部の棚、経理部の棚のような区分け=フォルダ |
| パス | 「デスクトップの中の、この棚の、この書類」という住所 |
| ターミナル | 店員に頼まず、厨房へ行って直接お願いするような操作 |
| ライブラリ | 車輪を一から作らず、できているものを使う部品の詰め合わせ |
| GitHub | プログラムを置いておく場所。誰がいつ何を変えたかの履歴が残る |
| リポジトリ | GitHubの中の、案件ごとのフォルダ |
ターミナルについて補足します。ふだん御社がパソコンを使うとき、フォルダをクリックして開き、画面をスクロールして操作しているはずです。ターミナルは、その操作を文字で伝えているだけです。レストランでたとえるなら、タッチパネルで注文するのがふだんの操作、厨房へ行って直接お願いするのがターミナルです。難しそうに見えますが、やっていることは変わりません。操作の方法が分からなければ、使っているAIに「ターミナルでこの操作をして」と頼めば、たいていはそのまま進みます。
ライブラリも、実務では費用に関わります。ログイン画面のように、多くのサービスで必要になる部分は、すでにできあがった部品が公開されています。一から作ると時間がかかるうえ、不具合も出やすくなります。外注先が「ここは既存のものを使います」と言ったとき、それは手抜きではなく、確実で早い進め方を選んでいるという意味になります。
GitHubに履歴が残るというのは、経営の面でも意味があります。担当者が変わっても、何がどう変わってきたかを追えるということです。外注先を替えるときにも、ここが引き継ぎの対象になります。
「中身」の言葉:フロントエンド・バックエンド・データベース・API・環境変数・JSON
ここには、費用と安全に直結する言葉が含まれます。
- フロントエンド:人が見て触る画面。お客様が見る画面も、社内用の管理画面も、どちらもこちらです
- バックエンド:ボタンを押したときに裏側で動いている処理
- データベース:会員情報や在庫などをためておく場所。漏れたら個人情報の流出になる場所です
- API:サービス同士をつなぐ窓口。他社の機能を自社のアプリに組み込むときに使います
- 環境変数:APIの鍵のような重要な情報を、プログラムの外側に置いておく場所
- JSON:コンピュータ同士がやり取りするための書き方。人が読むためのものではありません
特に注意が要るのはAPIです。APIの鍵は、使った分だけ課金される仕組みのものが多く、外部に漏れると、他人に使われて身に覚えのない請求が来ることがあります。だからこそ、鍵はプログラムの外(環境変数)に置きます。AIも「この情報はチャットに貼らないでください」と案内してきますが、意味を知らないと読み飛ばしてしまいます。
データベースも同じです。初めのうちは、自社で個人情報を持たずに、既存のサービスに預けるほうが安全です。
自分で一度作ってみると、判断が速くなる
用語は、読んで覚えようとすると頭に残りません。一度、自分で小さなものを作ってみるのが近道です。
弊社のエンジニアも、最初は意味の分からない言葉に触れたくないと感じ、GitHubの操作はすべてAIに任せていました。AIがやっていることを横で見ながら、必要になった部分だけを後から覚えたという進め方です。
経営者の方に、開発そのものを覚えてくださいと言うつもりはありません。ただ、社内だけで使う簡単なものを1つ作ってみると、外注の見積もりを読む力が変わります。 どこに手間がかかるのか、どこが安全に関わるのかが、体感として分かるためです。個人情報を入れずに、自分だけが使うものから始めれば、危険もありません。
外注するとき、この用語をどう使えばよいか
用語を覚える目的は、自分で作ることではありません。相手の話を評価できるようになることです。打ち合わせでは、次の3点を確認してください。
- 公開前の確認をどこでするか(ローカル環境での確認、テスト環境の有無)
- お客様の個人情報をどこに置くか(自社のデータベースか、外部サービスか)
- ソースコードと履歴は誰のものか(GitHubのリポジトリを、御社側でも持てるか)
3つ目は見落とされがちですが、将来ほかの会社に頼むときの引き継ぎのしやすさが変わります。
よくある質問
Q. 経営者が、こうした用語を覚える必要はありますか?
A. 自分で開発する予定がなくても、最低限「ローカル環境」「デプロイ」「データベース」「API」の4つは知っておく価値があります。公開前の確認、個人情報の置き場所、外部サービスの費用という、判断が必要な話に直結するためです。それ以外は、必要になったときに調べれば間に合います。
Q. 用語が分からないとき、誰に聞けばよいですか?
A. 使っているAIにそのまま聞くのが早いです。「この言葉を、専門用語を使わずに説明してください」と頼めば返ってきます。外注先に聞くのも問題ありません。質問に対して、かみ砕いて説明できるかどうかは、外注先を見極める材料にもなります。
Q. プログラミングができなくても、AIで開発を進められますか?
A. 進められます。実際、弊社のエンジニアも最初はGitHubの操作をすべてAIに任せ、やり取りを見ながら覚えました。ただし、セキュリティと公開手順だけは、意味を分かったうえで進めてください。ここを飛ばすと、金銭的な被害や情報の流出につながります。
まとめ
- AIでものを作るとき、用語を知らないこと自体は障害になりません。ただし時間と費用は余計にかかります
- 経営の判断に関わるのは、**公開前の確認(ローカル環境)、個人情報の置き場所(データベース)、外部サービスの鍵(API・環境変数)**の3点です
- 外注するときは、この3点を質問してください。答え方で、相手の進め方が見えます
自社で作るべきか外注すべきかの判断は、AI導入は社内でやるか外注するかでも書いています。進め方に迷う場合は、お問い合わせからご相談ください。現在の業務を伺ったうえで、どこから手をつけるべきかをご提案しています。