AIを使うと社員が育たなくなる、という心配は半分当たっています。育たなくなるのは、考える過程まで飛ばしたときです。使い方を決めておけば、むしろ育つ速度は上がります。

この記事は、AI導入に前向きな一方で、社員の成長への影響を懸念している中小企業の経営者向けです。

どういうときに育たなくなるのですか?

答えだけを受け取って、そのまま使う使い方をしたときです。

仕事の力は、たいてい次の過程で身につきます。

  • 何が問われているのかを自分で整理する
  • 手持ちの情報で足りるかを判断する
  • いくつかの案を比べて、理由を持って選ぶ

AIに丸ごと投げると、この3つがまとめて飛びます。出てきたものが妥当かどうかも判断できないので、間違いに気づけないまま経験だけが積み上がるという状態になります。

一方で、自分で考えたうえで「他に案はないか」「この理屈に穴はないか」と使う場合、過程は残ります。同じツールでも結果が正反対になるのは、この違いによるものです。

どう使わせればよいですか?

業務ごとに、AIを使ってよい段階を決めてください。

段階 AIの扱い 理由
考える前 使わせない 自分の考えが出る前に答えが来ると、過程が飛ぶ
自分の案が出た後 使ってよい 比較・反論の相手として使える。ここが最も伸びる
清書・体裁 積極的に使う 力がつく作業ではない。時間を使う必要がない

新人にこそ、この線引きが要ります。経験のある社員はAIの出力の妥当性を判断できますが、判断の基準を持たない段階で答えを渡すと、基準そのものが育ちません。

もう1つ有効なのは、AIに出させたものを説明させることです。なぜこの案なのかを本人の言葉で言えるなら、過程は残っています。言えないなら、そこを埋めるのが指導になります。

この確認は、机に向かってやる必要はありません。提出のときに一言「なぜこうしたのか」と聞くだけで足ります。聞かれると分かっていれば、社員は自分で考える工程を残すようになります。仕組みで縛るより、この一言のほうが早く効きます。

irohaの見解

弊社は、社員の成長とAIの利用は対立しないと考えています。対立するのは、評価の対象を成果物だけにしたときです。

出てきたものだけで評価すると、社員は最短で成果物を作ろうとします。当然、丸投げが最短になります。過程を聞く習慣があれば、丸投げでは説明できないため、自然と考えるようになります。

ツールを制限するより、説明を求めるほうが実効性があります。 禁止しても隠れて使うだけで、確認の機会も失われます。

まとめ

  • 育たなくなるのは、考える前に答えを受け取る使い方
  • 自分の案を出した後に、比較の相手として使わせる
  • 出てきたものを本人の言葉で説明させる

社内でどう使わせるか決めかねている場合は、お問い合わせからご相談ください。業務と体制を伺ったうえでご提案しています。