中小企業のSNS集客で、バズを狙う必要はありません。仕事につながるのは、「自社が何者で、何をしているか」を届けたい相手に向けて出し続ける発信です。
この記事は、SNSで集客したいものの、何を投稿すればよいか分からない、あるいは再生数が伸びずに手が止まっている中小企業の経営者向けです。
同じ内容を、弊社の代表とエンジニアが動画でも話しています(14分37秒)。読むより見たいという方は、こちらからどうぞ。
結論:SNS集客は「バズ」ではなく「知ってもらう」ために使う
中小企業がSNSで目指すべきなのは、再生数の大きさではありません。御社に仕事を頼む可能性のある人に、御社を知ってもらうことです。
バズを狙う発信と、仕事につながる発信の違いを先に示します。
| バズを狙う発信 | 仕事につながる発信 | |
|---|---|---|
| 目的 | できるだけ多くの人に見られる | 届けたい相手に知ってもらう |
| 中身 | 流行りの型、誰もが見たことのある題材 | 自社の実際の仕事、代表や社員の考え |
| 見る人 | 業種も地域も関係ない人が大半 | 御社の分野に関心がある人 |
| 数字の見方 | 何万回再生されたか | 見た人の中に、関心を持った人がいたか |
| 続けやすさ | 流行を追い続ける必要がある | 日々の仕事がそのまま材料になる |
弊社は、代表のSNSアカウントを始めてまだ2ヶ月ほどです。それでも、開設から1ヶ月も経たないうちに問い合わせが届きはじめ、いまでは依頼の多くがSNS経由になっています。狙ったのはバズではなく、「irohaがどんな会社で、何をしているのか」を知ってもらうことでした。
なぜバズを狙うと仕事につながらないのか?
バズとは何かを言葉にすると、多くの人が見たことのある題材や、すでに面白いと分かっている型に、人が集まる現象です。流行りのダンスや定番のフォーマットが伸びるのはこのためです。
もちろん、多くの人に届くこと自体は悪いことではありません。問題は、バズを目的にしたときに起きることです。
- 届く相手が、仕事と関係なくなる:再生数を取るために題材を広げるほど、御社の業種にも地域にも関心のない人に届きます。遠い国のダンサーに見られても、工務店の仕事は来ません
- 自社の中身が消える:流行の型に合わせるほど、「この会社は何をしているのか」が伝わらなくなります
- 見る側の時間を消費するだけで終わる:面白かった、で終わり、御社の名前は残りません
つまり、バズを狙った発信は、再生数という数字は伸びても、集客という本来の目的からは離れていきます。本末転倒になりやすいのです。
仕事につながる発信は、どう設計すればよいか?
設計の出発点は、「誰に届けたいか」と「何を知ってもらいたいか」を決めることです。
届けたい分野を絞る
弊社の場合は、AIという分野に絞って発信しています。世の中全体から見れば、AIはまだ関心を持つ人が限られた分野です。それでも、関心のある人にきちんと届くことを優先しました。
御社でも同じ考え方ができます。
| 業種 | 絞り方の例 |
|---|---|
| 工務店・リフォーム | 地域で家を建てたい人、住まいを直したい人に向けて、現場の仕事を見せる |
| 税理士・社労士 | 経営者や個人事業主に向けて、日々の相談で多い疑問に答える |
| 美容室・サロン | 近隣のお客様に向けて、施術の考え方や店の雰囲気を伝える |
「情報屋」にならない
SNSには、「このAIを使うとこれができる」「確定申告で損しない5つの方法」といった、一般的な情報を発信するアカウントが数多くあります。
弊社は、ここで競う必要はないと考えています。理由は2つです。
- 同じ情報を出す人がすでに大勢いる:後発で同じ土俵に立っても埋もれます
- 一般的な情報は、AIに聞けば答えが出る:誰でも言える情報は、それだけでは御社を選ぶ理由になりません
御社にしか出せないのは、御社の実際の体験と、これから何をしようとしているかです。現場で起きたこと、判断に迷ったこと、うまくいかなかったこと。これが一次情報であり、見る人が「この会社に頼みたい」と感じる材料になります。
AIで文章を作って投稿する場合も、この点は同じです。一般論をそのまま出すと、どこにでもある発信になります。詳しくはAIが書いた文章をそのまま使ってはいけない理由で書いています。
投稿の中身は、何を軸に考えればよいか?
弊社の代表が企画で意識していたのは、応援されることと信頼されることの2つです。
応援される余地をつくる
有名人でもない人の発信を、なぜ人は見続けるのか。弊社の答えは、「特別ではない人間が、どう成長していくのか」という過程に人は関心を持つ、というものです。
人は、うまくいった話よりも、失敗や苦労の話に目を留めます。ニュースやテレビが、明るい話題よりも問題や事件を多く扱うのと同じ構造です。
ただし、目を引くために自分の伝えたいことを曲げる必要はありません。挑戦している途中の姿を、隠さずに見せる。それだけで「応援したい」と思ってもらえる余地が生まれます。
中小企業であれば、たとえば次のような題材になります。
- 新しいサービスを始めた理由と、始めてみて分かったこと
- 現場でうまくいかなかったことと、そのあと変えたこと
- 会社としてこれからやろうとしていること
信頼される材料を積み重ねる
応援されるだけでは、仕事の依頼にはつながりません。「この会社なら任せられる」と思える材料も必要です。
実際の仕事の進め方、判断の理由、お客様とのやり取りで大事にしていること。こうした発信が積み重なることで、見る人の中に信頼が育ちます。
発信を始められない会社がつまずくところは?
SNSが重要だと分かっていても、手が止まる会社は少なくありません。よく聞く理由と、弊社の考えを並べます。
| 手が止まる理由 | 弊社の考え |
|---|---|
| 動画編集が難しそう | 編集しなくても、話すだけで投稿になる |
| 何を投稿すればよいか分からない | 日々思っていることを話すところから始めればよい |
| 再生数が少ないと意味がない | 300回再生は、300人に見られたということ |
| 失敗して会社の評判に傷がつかないか | 見られていない段階では、傷もつかない |
| 準備が整ってから始めたい | 始めない日が続くほど、始めた会社から遅れる |
特に強調したいのは、再生数の捉え方です。300回の再生は、300人に見られたということです。 普段の生活で、自社の話を300人に聞いてもらえる機会はまずありません。その中に1人でも2人でも関心を持つ人がいれば、十分な成果です。
もう1つは、SNSは完璧である必要がないという点です。投稿して反応がなくても、費用は1円もかかっていません。かかった時間も数分です。大企業であれば看板への影響を気にする必要がありますが、見られていない段階の中小企業に失うものはほとんどありません。
SNSは、相手を選ぶための仕組みにもなる
SNSには、集客とは別の利点があります。御社と相性のよい相手だけが問い合わせてくるという点です。
飛び込み営業では、会ってみて初めて相性が分かります。人柄や進め方が合わない相手のところへ何度通っても、時間を使うだけです。
SNSで発信を続けていれば、見る人は問い合わせの前に、御社の考え方や話し方、仕事の進め方を知っています。そのうえで「それでも頼みたい」「話を聞いてみたい」と連絡してくる相手です。事前に相手がふるいにかけられているため、商談がまとまりやすくなります。
なぜ今、中小企業こそSNSに取り組むべきなのか?
AIの普及によって、ものをつくること自体は誰にでもできるようになりつつあります。弊社はAIを使った制作や自動化を仕事にしていますが、この分野もいずれ大手企業が本格的に参入してきます。
そうなったとき、中小企業が広告費で大手に勝つことはできません。大手はテレビCMや駅の広告に、数千万円から数億円をかけられます。それだけ「知ってもらうこと」には価値があるということです。
広告費をかけられない会社にとって、知ってもらうための現実的な手段がSNSです。 資金力で戦うのではなく、自社の中身で選んでもらう。これが中小企業の戦い方だと弊社は考えています。
大手に勝つ必要はありません。縁のあったお客様に、どれだけ貢献できるかが本来の勝負です。ただ、その縁をつくる「集客」の部分で、多くの中小企業がつまずいています。そこを解決する手段として、SNSは最も効果的な選択肢のひとつです。
美容室の場合の具体的な進め方は、美容室のSNS投稿をAIで作る|時間をかけずに続ける方法も参考にしてください。
よくある質問
Q. SNS集客は、始めてからどれくらいで成果が出ますか?
A. 業種や発信の内容によって大きく変わるため、一概には言えません。弊社の場合は、代表のアカウントを開設して1ヶ月が経つ前に問い合わせが届きはじめました。当初は3〜4ヶ月目から反応があればよいと考えていたため、想定より早い結果でした。数ヶ月は続ける前提で始めるのが現実的です。
Q. 会社のアカウントと、社長個人のアカウントのどちらで発信すべきですか?
A. 弊社は代表個人のアカウントで発信しています。「応援されること」と「人柄が伝わること」を軸にするなら、顔と名前の見える個人のほうが向いているためです。一方で、会社の実績や施工事例を整理して見せたい場合は、会社のアカウントが適しています。両方を持つ場合も、まずはどちらか1つに絞って続けることをおすすめします。
Q. SNS運用は外注したほうがよいですか?
A. まず一度、御社自身で投稿してみることをおすすめします。実際に投稿すると、何が伝わり、何に手間がかかるのかが分かり、外注するとしても何を任せるべきかが明確になります。そのうえで、編集や継続にかける時間が社内にない場合は、動画編集だけ、運用全体など、手間のかかる部分から外注を検討するのが効率的です。
何から始めればよいか
やることは1つです。今日、1本投稿してください。
- 届けたい相手を1つに絞る
- 御社の実際の仕事や、代表の考えを、編集せずに話す
- 再生数ではなく、見た人の中に関心を持った人がいたかを見る
「何を投稿すればよいか」を考え続けるより、まず1本出したほうが、次に何をすべきかが見えてきます。弊社としても、実際に投稿してみたうえでご相談いただくほうが、具体的なお手伝いができます。
投稿を続ける時間や人手が社内にない場合は、お問い合わせからご相談ください。SNSの運用代行や動画編集のみのご依頼も承っており、御社の状況を伺ったうえで、どこから手をつけるべきかをご提案しています。