AI導入の効果を「削減できた時間」で測ろうとすると、ほとんどの場合うまく測れません。中小企業で見るべきなのは、これまで手が回らなかった仕事が動き出したかどうかです。
この記事は、AIを試してみたものの、続ける価値があるのか判断できずにいる中小企業の経営者向けです。
なぜ「削減時間」では測れないのですか?
理由は2つあります。
1つは、元の時間を誰も記録していないことです。案内文を書くのに何分かかっていたかを計測していた会社はまずありません。比較する数字がないため、削減時間は感覚でしか語れません。
もう1つは、浮いた時間が別の仕事で埋まることです。中小企業では手が足りていないのが常態なので、時間が空けば次の仕事が入ります。結果として、総労働時間はほとんど変わりません。数字が動かないため「効果がなかった」と結論づけてしまいます。
実際には仕事は進んでいるのに、測り方のせいで効果が見えなくなっている状態です。
代わりに何を見ればよいですか?
次の3つを見てください。いずれも記録が要らず、その場で判断できます。
- 着手できた仕事が増えたか — 手順書づくり、情報発信、社内マニュアルなど、必要だと分かっていて後回しにしていた仕事に着手できたか
- 担当者を変えられたか — これまで経営者や特定のベテランしか書けなかった文書を、他の人が下書きできるようになったか
- その業務が止まらず回っているか — 1ヶ月経っても使われているか。使われなくなっていれば、業務の選び方が合っていない
3つ目がもっとも正直な指標です。効果があれば、言わなくても使い続けます。 使うのをやめた業務は、そもそも向いていなかったと判断して次へ移ってください。
irohaの見解:測る単位は「会社全体」ではなく「業務1つ」
会社全体でどれだけ効率化したかを測ろうとすると、影響が薄まって何も見えなくなります。業務1つを取り出して、その業務が前と比べてどう変わったかだけを見てください。
判断の期限も先に決めておくことを勧めます。1ヶ月試して使われていなければやめる、と決めておけば、成果の出ない状態が惰性で続きません。契約も止められるため、損失は最小限で済みます。
逆に1つでも定着した業務があれば、そのやり方をそのまま次の業務へ広げられます。最初の1つが定着するかどうかが、その後を決めます。
まとめ
AI導入の効果は、削減時間ではなく「これまで手が回らなかった仕事が動き出したか」で判断してください。記録がなくても、その場で分かります。
測る単位は業務1つ。1ヶ月使われ続けていれば成功、使われなくなっていれば業務の選び方を変える、という基準で十分です。